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近年、セメント製造工程においては廃プラスチック、下水汚泥、バイオマス等の廃棄物の大量処理への期待が高まる一方、大気汚染や温暖化ガスの規制強化も進んでいます。当社はこのニーズに対し、経済性や安全性をも考慮した環境ソリューションを提案するべく、太平洋セメントグループの協力を得てTaiheiyo Thermal Reactor(以下TTR®と称す)を開発しました。
含水率80%の下水汚泥とプレヒータサイクロンから分取した700℃以上の予熱原料をTTR®に供給し、含水率3%未満に乾燥されます。 乾燥物はプレヒータの仮焼炉に、水蒸気と臭気を伴うガスはボトムサイクロン出口に供給することで熱量損失を回避しています。 また、TTR内は水蒸気およびセメント原料に被覆されるため、火災及び爆発の危険性がありません。
直接投入方式では、クリンカーの減産を回避するため下水汚泥の処理量は90t/dですが、TTR®導入後は200t/d以上の下水汚泥を乾燥することができます。プレヒータ排ガス誘引ファン(IDF)に余力があれば熱量損失を最小限に抑えてクリンカーの生産量を維持できます。
キルンへ生汚泥を直接投入する場合、CAPEXは最も低くなりますが、クリンカー減産率は最も高くなります。 高温ガスによる直接加熱の乾燥システムの場合、セメントキルンは安定的に運転できますが、熱量損失が大きく、酸素を含む高温ガスを使用すると燃焼・爆発の危険があります。 間接加熱による乾燥システムの場合、設備が大きくなり、CAPEXが最も高くなります。 TTR®はこのような課題を解決できる画期的なシステムです。